メンター紹介

メンターインタビュー vol.3 篠原直人さん

PTD運営

PLAY THE DESIGNERでメンターとして活躍するデザイナーたちに迫るインタビュー第3弾となる今回は、リサーチも好きなデザイナー・篠原直人さんに迫ります。

 

遠回りして気づいたデザインへの想い

 

――よろしくお願いします。はじめに、篠原さんのキャリアについて教えてください。

 

現在はマネーフォワードというFintechのベンチャー企業でデザイナーをやっています。もともと大学院では、文化人類学、社会学、経済学、工学などの領域を横断的に扱う研究室に所属し、都市環境デザインを主に学んでいました。統計を使った分析も、フィールドワークもやりました。もともと文理融合した領域に興味があり、自分で団体を作って行政や街の企業とコラボイベントをしたりもしていましたね。土地の歴史的文脈も含んだ「人間」を中心に据え、その魅力を引き出したり、そこに住む人たちがより有意義な人生を歩むためにはどうしたらいいかを考えることに興味があります。

竹田城プロジェクト

※大学院時代の篠原さん

 

――かなり専門的な分野での研究ですが、最初に就職したのは少し毛色の異なるスタートアップ企業ですね。

 

スタートアップという環境に興味があり、10名ほどの規模の教育・人材系企業に入社しました。メインは法人営業でしたが、マーケティングリサーチやキャリア面談、チラシ作りなど幅広く関わりました。ツールでいえば、昼まではPowerPointと電話機、夕方からは履歴書とノート、夜はIllustratorとPhotoshopという生活(笑)。大変でしたが、事業やサービスを俯瞰して見る視座や視点を知ることが出来ました。

 

――いわゆる「何でもやる」といった働き方ですが、良かったことはありますか?

 

3つあります。1つは「スタートアップで働く」ことのリアルを知れたこと。2つ目は、色々なことをやる中で「結局自分がやりたいのはデザインなんだ」と気づけたこと。振り返ると、大学生の頃から団体のWEBサイトやイベントポスターなど、自分でデザインしていたんです。そういえば率先して楽しんでやっていたな、と。法人営業も面白いですが、人生を摩耗して過ごすのであれば好きなことをやろうと思い、デザイナーになることを考えるようになりました。3つ目は、自分なりのバリューポジションが見えてきたこと。わからないことを自分で調べるのが好きで、自分のキャリアにとって「リサーチ」という柱の存在も大きいのだと気づきました。

 

――その後の転職は、デザイナーになることを目指して進めていったのですか?

 

そうです。自分が持っているスキルセットで届くよりクリエイティブに近い領域の中で、サブでもデザインの実績が積める広告代理店に転職しました。ただしデータ分析寄りの配属だったので、平行してスタートアップやNGOなどのお手伝いをして、デザインの実績を作っていきました。

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※スキルアップのため様々なデザインサンプルを制作

 

 

デザイナーとしての道を模索する人を応援したい

 

――次の転職で、晴れてUIデザイナーとして採用されたんですよね。

 

ポートフォリオとして纏められるレベルになったところで、前職である医療系ベンチャー企業に転職しました。転職時には自分のキャリアをかなりつまびらかに話したのですが、それを受け入れて、希望通りUIデザイナーとして採用して頂きました。当時29歳で、正直「本当にキャリアチェンジできるのだろうか」と悩むこともありました。間近でデザイナーの仕事を見てきたわけでもなく、デザインはしていたけど教えてもらったこともない。「自分がやってきたことが通用するだろうか」と不安もありましたが、マネージャーの方々の人柄に安心して転職を決めることが出来ました。

 

――キャリアチェンジは誰もが不安を持つ部分ですが、これまでの経験が活きたと感じることはありましたか?

 

大学時代のコミュニティデザインでも、スタートアップ企業でも求められていたこととして、「領域を横断する働き方」が身についていたのは良かったです。当時会社は80人ぐらいの規模でしたが、カスタマーサクセスや営業など、部署を超えて「デザインに必要な情報を集めにいく」動きが出来たかなと。営業さんが持ってくる要件の先の事情に想像力を働かせることが出来るし、ダメな時はダメだと言うこともできる。そういうコミュニケーションをとれたのは良かったです。

 

――同僚だったツモマーさんから「PLAY THE DESIGNERのメンターをやってみないか」と誘いを受けて、最初はどう思いましたか?

 

すぐに「やろう!」と思いました。試行錯誤してデザイナーに転職した経験があるので、自分自身を投影している部分もあり、応援したい気持ちがあるんです。デザイナーに限らず、「新しい道を模索したい」「能力があるのに、環境のせいでそれが発揮出来ていない」という人を応援したい。それは、デザインとは別の想いとして一貫して持っているものなんです。

 

――実際の授業では、どのようなことを心がけていましたか?

 

例えば、担当したchiharuさんの場合は彼女の「ユーザーエクスペリエンスからちゃんと考えたい」という想いを大切にしたくて、常にそこを意識できるようサポートすることを心がけていました。ただ、最終課題の進め方などでは反省している部分もあります。画面に落とすの前の体験シナリオを書く段階との時間配分の関係で、画面が出揃った最後の授業ではフィードバックを返すだけで終わってしまって…。進め方を変えたり、カリキュラムを大胆に変更するなど、生徒さんの状況に合わせて柔軟な意思決定を出来るよう、改善していきたいです。

 

――chiharuさんはPLAY THE DESIGNERでの学びをnoteにまとめてくれていましたね。

 

note(下記参照)を読んでいると、楽しんで勉強してくれていることがわかって嬉しいですね。やはり、自習が大切。本人がどれだけその期間、自分で学べるか、インプットとアウトプットできるかが重要なんです。僕たちメンターがすべきことは、そこをどうモチベートしてあげられるか。実際、chiharuさんは週に何本か課題外の作品も作っていて、クオリティもかなり上がりました。

 

 

一人一人の課題に寄り添った学びを届ける

 

――メンターとして「教える」経験はいかがでしたか?

 

デザインについて教えるのは初めてですが、教えること自体は初めてではないので、大きな大きなハードルは感じていませんでした。ただ、メンターとして教えることを通して、自分の中でデザインの基本を反芻し、定着させる意識がより強固になった感覚がありますね。

 

――篠原さん自身のデザイン学習方法を教えてください!

 

僕、ノートがとれない人間なんです。大学生になるまでノートをとったことがなくて(笑)。でも大学で出会って以降、読書メモなどをマインドマップで書くようになりました。本を読んでいる時、別の本の内容との共通点や、前の章と繋がる部分などを三次元的に捉えている感覚があり、上から下へと情報が流れていく普通のノートではまとめられなくて。でも、マインドマップを使ったらうまく整理できるようになりました。

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※実際にマインドマップでとった読書メモ

 

UIデザインのおすすめの勉強法は、まずは真似ること。いきなりオリジナルを目指さずに、例えばAppleやGoogleの純正アプリを真似るんです。また、オフィシャルのコンポーネントやデザインデータも配布されているので、まずはそれを使ってデザインを作る。そうすると、例えば「このパーツはステータスバーっていうんだ」などの情報が吸収出来て、GoogleとAppleとの用語の違いに気づくことも出来ます。僕はそこを突き詰めていった結果、日本語訳に様々な疑問が湧いてきたので、オリジナル言語である英語で読むようになりました。例えばGoogleだと、日本語ではどちらも「作成」となっているけれど、Gmailは「Compose」でGoogleカレンダーは「Create」。その微妙な違いに、デザインの意図が潜んでいるはずなんです。

 

――なるほど!そうしたメンターの実践的な知識や経験を直接吸収できるのも、PLAY THE DESIGNERのポイントですよね。生徒さんにはどのような体験を提供したいと考えていますか?

 

究極的には「楽しくて学びがある体験」で、そこで重要なのは「”その人にとっての学び”がある」ということ。個人個人の違いが大きい部分なので、どれだけ汲み取ってあげられるかを大切にしています。そのためには、その人に何が足らないのか、何があればゴールにたどり着けるのかを見極めることが重要。授業の時にも、もともとPLAY THE DESIGNERを受講しようと思った動機ややりたかったこととずれていないか、忘れていないか、適宜確認しています。もちろん、学んでいるうちに目指すところも変わっていくものなので、進みに合わせてチューニングします。常に生徒さんファーストでいたいですね。

 

――デザイナーとして提供したいもの、大切にしたいことは何でしょう?

 

デザイナーとして大切にしていることは2つ。ユーザーのためになるのか、そしてビジネスになるのかです。僕は、誰がどう苦しんでいて、それをどう解決できるのか、イメージしながらデザインしたいんです。あとは、リサーチという側面も活かして行きたい。異業種転職デザイナーは、やはりこれまでのキャリアとの掛け算が重要になってきます。「今の仕事が辛いので、デザイナーになって環境を変えたい」という方も、無理をしない範囲で「今の仕事で成果を出す」ことをまずは頑張ってみてほしい。未経験からデザイナーになる時に、これまで別の仕事で頑張ってきたという事実は必ず後押しになります。

 

――ありがとうございます。最後に、「デザイナーの世界をよりよくする」ということについて篠原さんの意見を聞かせてください。

 

今、デザイナーだけが他の職種と比べて環境が悪いかというと、そんなことはないと思います。絶対的にデザイナーの価値をあげるという点でいえば、一人一人が社会に対してインパクトを与える仕事をすることが求められるのではないでしょうか。クラウドファンディングやシビックテックの潮流など、組織に所属していなくてもデザイナーの仕事がいい形で世に出て、デザインの価値を示せる場面も増えています。そういったところで、1デザイナーとして目の前の事象に対して良い問いを返すこと、良いものを返すことの積み重ねをしていきたいです。

 

Interview&Text:Shiho Nagashima

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